米国探鳥の記 その3(1992.7.5〜16)



(1)出張先、(2)サンフランシスコ湾岸のショアライン

【マウンテンビユー市内とショアライン】
 6/30に西側のアムステルダムから帰国したばかりなのに、日本にわずか5泊で7/5に東側のサンフランシスコへ向かいました。今回はシステムPDRというビッグイベントなので20人以上の団体でした。サンフランシスコに着いた後、レンタカーに分乗してマウンテンビユー (Mountain View) 市内のBrookside Innに向かいました。このホテルは日本人のマネージャがいて朝食にご飯が出ます。

 到着後、すぐにこのホテルと同じマウンテンビユー市内のショアライン (Shoreline) へ送ってもらい、夏のサンフランシスコ湾の観察を始めました。フタオビチドリ (Killdeer) 、アメリカソリハシセイタカシギ (American Avocet) はもちろんおり、なんとマガモ、オナガガモ、オカヨシガモ、ハシビロガモ、アカシマアジ (Cinnamon Teal) 、ミカヅキシマアジ (Blue-winged Teal) 等、夏というのに多数のカモがいました。夏でも涼しいので、北への旅を省略してここで子育てをしているものと思われます。みんなエクリプスなのでわかりにくいことこの上ないのですが、アカシマアジ (Cinnamon Teal)はそのシナモン色ではっきりとわかります。他にオオバン、コアジサシ、クロツキヒメハエトリ (Black Phoebe) 、ユキコサギがおり、アメリカシロペリカン (White Pelican) も5羽泳いでいるのが見られました。

 カモと一緒に一羽頭の黒いトキsp.がいるではないですか。もちろんフィールドガイドには載っておらず、地元のバードウオッチャーも熱心に見ていました。彼はオーヂュボン協会に報告するのだとはりきっていました。頭と首の上部と尾が黒く見えましたが、尾ではなく風切りの先端が黒いのかもしれず、後にタンザニアで見ることになったアフリカクロトキ (Sacred Ibis) だったかもしれないです。

 ハゴロモガラス (Red-winged Blackbird) は肩の赤いところを拡げて盛んに鳴いており、ディスプレイなのでしょう。なんとボート池にアビsp.がいるではないですか。アビ (Red-throated Loon) のようです。双眼鏡を持っている人に確認しようとしましたが、彼女はあまり詳しくないようでしたが、「確かにLoonだ」と言って驚く様子もなかったのでそんなに珍しくも無いようでした。

 他にはコマツグミ (American Robin) 、テリムクドリモドキ (Brewer's Blackbird) 、アカオタテガモ (Ruddy Duck) 、アメリカオオセグロカモメ (Western Gull) 、マネシツグミ (Northern Mockingbird) 、ナゲキバト (Mourning Dove) 等米国でおなじみの鳥達です。タヒバリのような模様でカワラヒワの感じのマツノキヒワ (Pine Siskin) は今回初めてお目にかかりました。

 ショアラインから歩いてホテルへ戻りました。途中でメキシコマシコ (House Finch) やアンナハチドリ (Anna's Hummingbird) を見ました。このハチドリを単眼鏡で覗いていたら、そこの家から男が一人出てきて、「今、写真を撮っただろう。」と言われました。ドキッとしましたが、ニコニコして単眼鏡を見せながら「とてもきれいなハチドリを見ていたんだ」と説明したら、彼も「あれは実に綺麗な鳥だ」と納得してくれました。

 7/6、今日からいよいよデザインレビューが始まります。早朝、ホテルの周りを散歩しました。ここは大きな通りの交差点になっており条件はあまりよくありませんが、コマツグミ (American Robin) 、テリムクドリモドキ (Brewer's Blackbird)、ナゲキバト (Mourning Dove) 、アンナハチドリ、イエスズメ、メキシコマシコ、アメリカガラス (American Crow) と一通りの鳥は見られました。しかし、3月に泊まったHyatt Rickeyでの広い庭にヒメレンジャク (Cedar Waxwing) 等の多数の鳥、というわけにはいきません。安いので我慢するしかありません。


(1)マウンテンビユー、(2)ヨセミテ国立公園、(3)モーノ湖 (Mono Lake)

  【ヨセミテ国立公園】
 今回は出張期間中に土日があったので、K君とS氏と一緒にヨセミテへ出かけることにしました。ホテルの予約は一年前にやらないと難しいといわれましたが、Ms. Rが電話してくれたところ、Curry VillageとYosemite Lodgeにキャンセルがあって各1部屋ずつとることができました。部屋にはダブルベッドが2個あるとのことで、Curry Villageの一部屋に3人で泊まることにしました。


ヨエミテ大滝

 7/11、ヨセミテへ行く途中は大平原の中を行きましたが、カリフォルニアは雨が少なく、褐色の枯草の大平原でした。この上をヒメコンドル (Turkey Vulture) が悠然と飛んでいました。Curry Villageは2部屋が1つの小屋になっており、1000mくらいの崖に取り囲まれた森の中に散在する小屋はなんとも素敵な雰囲気でした。残念ながら雨がときどき強く降ったため、あまり鳥見はできませんでしたが、水量が増したヨセミテ大滝の景色は素晴らしいものでした。ヨセミテで有名なSteller's Jayには早速お目にかかりました。頭が尖って黒っぽいこの鳥はヨセミテ中に沢山いるようだった。テリムクドリモドキ、コマツグミもたくさんいました。


展望台からのヨセミテ渓谷全景

 次の日、ヨセミテを横断する道路をドライブしました。Olmsted Pointではハイイロホシガラス (Clark's Nutcracker) がいました。くちばしが下に曲がったカケス位の大きさの淡いベージュ色の鳥です。飛んだ時に羽の白い大きな斑が目立ちます。

 その後、横断道路の高度はどんどん上がり、3000mにも達しました。ヨセミテを出て少し行くとMono Lakeがあり、近くでニシフウキンチョウ (Western Tanager) を見ることができました。この後、西へ向か道路は山中のはげしいワインディングロードで、ときどき豪雨が降り運転手のK君には厳しいドライブとなりました。

【再度のショアライン】
 仕事をテキパキと片付けて、1日フリーとなった7/14には再度ショアラインへ出かけました。丸1日使えるのでじっくりと鳥見ができました。いるいる、カナダガンが沢山です。40羽近くが群れており、ここでは子育てをしているようです。クアークアー鳴きながら飛んでいるのもいます。低空を飛ぶのですごい迫力です。

 ずっと海の方へ突き出た道を歩いていくと、アメリカソリハシセイタカシギ (American Avocet) やクロエリセイタカシギ (Black-necked Stilt) があちこちにいます。これらも子育てをしているようです。メリケンアジサシ (Forster's Tern) もたくさん飛び回っています。大きな白い鳥が沢山かたまっており、アメリカシロペリカン (White Pelican) が集団繁殖しているのが見られました。数えてみると300羽以上おり、小さな子供もいました。また、アメリカダイシャクシギ (Long-billed Curlew) や、その他のシギ類が沢山いる場所もありました。

 干上がった池では赤いオオハシシギ (Long-billed Dowitcher) が数羽いそがしげに採餌しており、エクリプスのカモがたくさんいました。ボート池では今日は平日なのでほとんど人がおらず、アラナミキンクロ (Surf Scoter) ♂1、♀2が見られました。池の近くの林ではヤブガラ (Bushtit) が枝移りしており、クサチヒメドリ (Savannah Sparrow) も見られました。

 今日は見るまでは帰らないぞ、と思っていたアナホリフクロウ (Burrowing Owl) ですが、草原の中に土が盛り上がっている巣のところで1時間程度ねばった結果、出てきて首をヒョッコリヒョッコリするところを見ることができました。帰りに池でオナガガモの子連れを見ることができました。子供はちょうど母親を小さくした感じで、一目でオナガガモとわかって面白かったです。


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