インドネシア鳥事情(シンガポールを経てスラバヤ:2008.8.24〜29)
昨年(2007年)に続き、今年(2008年)もインドネシアのスラバヤに出かけましたので、仕事の合間に見聞きした野鳥の状況を書いてみます。
8月24日:日曜日の福岡空港出発で、シンガポールにて1泊しました。昨年はシンガポールのチャンギ空港内のホテルがとれなかったため、チャンギビレッジホテルに泊まりました。ここが大変よかったので、今年はこのホテルをリクエストしてとってもらいました。雷雨の中を着陸したのですが、午後4時ころにホテルに着いた時には雨も小やみになっていたので、急いで外に出かけました。
チャンギビレッジは空港から北に車で10分位のところで海岸沿いのリゾート地です。散歩コースが設定されており、大きな木には「Heritage Tree:遺産木」の看板が設置されて木の説明が記されていました(写真1)。
いろいろ鳥の声が聞こえるんですが、さすがに外国では声での識別はできません。海岸に近付くと海岸に沿って木道が設置されており(写真2)、地図も設置されていました(写真3)。
木道を歩くとすぐに海岸に出ます。昨年は海にさされた杭に真っ黒で眼だけが赤いミドリカラスモドキ (Asian Glossy Starling)(写真4)が何羽かとまっていたんですが今年は雨のせいか何もいませんでした。海岸沿いの遊歩道はなかなか趣があります(写真5)。
これをずっと歩いて小さな島の公園(チャンギ・ビーチ・パーク)につくと、芝生にはオオハッカ (White-vented Myna) とカバイロハッカ (Common Myna)(写真6)の2種が混ざって歩いてました。ツバメの種類がフェンスにとまってましたが、腹の色が黒っぽいリュウキュウツバメ (Pacific Swallow) です。ツバメは日本が冬になるとこちらに渡ってくるのでしょう。木の枝でキーキー鳴いているのはダルマインコ (Red-breasted Parakeet)(写真7)で、何羽も飛び回ってました。波打ち際には尾が長いカノコバト (Spotted Dove)(写真8)が歩いてました。
日も暮れかけたので、ホテルに向かって歩き始めたらシロガシラトビ (Brahminy Kite) と思われる大きなタカがゆったりと飛んでいるのが見られました。
写真3.遊歩道の地図
写真4.ミドリカラスモドキ (Asian Glossy Starling)
写真5.木道の遊歩道の景色
写真6.カバイロハッカ (Common Myna)、これはインドにもたくさんいました。
写真7.ダルマインコ (Red-breasted Parakeet)
写真8.カノコバト (Spotted Dove)
(1)シェラトンホテル、(2)スラバヤ工科大学(ITS)、(3)スラバヤ動物園
8月26日:インドネシア・スラバヤのホテルは18階の東側の部屋です。昨年は西側の部屋で、朝の3時頃からのモスクからの大音量のお祈りの声で起こされたものですが、こちらは音量があまり大きくなくてよく眠れました。窓の外を眺めているとヒメアマツバメに似た鳥がたくさん飛んでました。図鑑で調べるとニシヒメアマツバメ (Little Swift) だと思いますが、飛んでいる鳥の見分けは難しいですね。
正面の建築中のビルは昨年もこのような状態でほとんど建築が進んでいないようでした。ここにニシヒメアマツバメが沢山いるのかも知れません。下に見える広場はバイクの駐輪場で、午後に見ると満杯に停まっていました。
8月27日:スラバヤ工科大学での仕事も一段落したので、午後は鳥市場に行きました。インドネシアの人は鳥を飼うのがとても好きだとのことで野鳥専門の市場があります。あらゆる種類の鳥がかごに入れられて売られています(写真9、10)。誰かさんの別名のおしゃべりオウムはかごにいれずに止まり木に鎖で縛って売られていました(写真11)。色がきれいなものは2000円くらいで、スズメのような地味な鳥は10円くらいだそうです。
あちこちでいろんな鳥が好き勝手に鳴くのでとても賑やかです。2か所での録音をクリックして聞いてみてください。鳥の声その1、鳥の声その2。
鳴き声を訓練してきれいに鳴くようになると値段が高くなるとのことで、訓練用のCDも売られています。1種類10分くらいずつの鳴き声が入ってます(写真12)。
写真10.安い鳥はぎっしりとつめこまれています。
写真11.おしゃべりオウムの展示販売
写真12.野鳥の歌を訓練するためのCD
その後、動物園に行きました(写真13_0)。案内役のI氏のおばさんが動物園の獣医さんとのことで案内していただきました。大きいつがいのシワコブサイチョウ Wreathed Hornbillがいて、ピーナツをやるとオスが取りに来てメスに与えるというほほえましい光景を見せてくれました(写真13)。これをI氏に説明すると「なんでオスメスがわかるんだ」と驚いてましたが、きれいな方がオスだとおばさんも説明してくれたので納得したようです。
隣の島であるバリ島にしかいない、全身ほぼ真っ白で、眼のあたりと尾と翼の先端部だけ黒い鳥カンムリシロムク Bali Myna(写真14)は絶滅危惧種とのことで、特別のケージに入れられて繁殖の努力がなされているとのことでした。
事務所で野鳥写真鑑を見せていただきました。インドネシアは大きな島毎に生息する鳥種が異なり、大きく7つのエリアに区分することができるそうです。特に東端のパプア島は生息種数が多く専門の図鑑がありました。
動物園の前にはスラとバヤ(鮫と鰐)のモニュメントがあり、これがスラバヤの語源だそうです(写真15)。
写真13.クチバシがとても大きいシワコブサイチョウのつがい。左の雄が右の雌に給餌している。
写真14.カンムリシロムク Bali Myna、絶滅危惧種です。
写真15.鮫と鰐のモニュメント、スラバヤの語源ということです。
(1)スラバヤ、(2)サファリパーク
8月28日:スラバヤから40km程離れたサファリパークに行きました。南へ行くのですが、途中に2年ほど前に天然ガスが噴出した場所があり、高速道路も壊れており(写真16_0)一般道へ降りて大渋滞になってました。今もガスと泥水の噴出が続いており、大きな堤防を築いて流出を防いでいました。500haもの土地が泥水に埋まっている風景は壮絶でした(写真16)。
写真16.噴出が続く天然ガスと泥水、家の残骸が右手に見えている。
2時間ほどかかって着いたサファリは結構楽しめました。コモドオオトカゲが何頭もいたのは見ものでした。ダチョウ等は餌をねだって近づいてきます(写真17)。
野鳥のケージは中を通過できるようになっており、ガイドが果物を取り出すと赤や緑の原色で彩られた鳥が何羽も集まってきましたが、残念ながらカメラの電池切れでいいところの写真がありません。
いろんな動物のショーを30分ごとに一日中やっていました。猛禽類のショーを丁度見ることができました。タカ狩りの要領ですが、頭と腹が真っ白で羽が黒いカタグロトビ (Black-winged Kite) がやってくれるととても綺麗でした。メンフクロウ (Barn Owl)(写真18)に生きたネズミを捕まえさせるのもありましたが、1羽は寝とぼけているようでまったく言うことをきかない様子で、もう1羽がようやく捕まえました。子供に見せるにはちょっと残酷かなと感じました。
次は猛禽ではありませんが、シワコブサイチョウのショーでした。大きい体とくちばしを器用に動かして、投げた餌を上手にキャッチしていました。手にとまらせてみないかと言われて、左腕を水平に構えて右手の平の上に小さく切ったマンゴーを乗せて待ちました。係員が笛を吹くとシワコブサイチョウが飛んできて左腕に止まって右手のマンゴーを食べました。写真13に示すようにニワトリくらいの大きさなので、結構ずしりとした感触がありました。くちばしがやたらと大きいので食べにくそうでしたが、少し首を横にねじって食べているのを目の前で見られて感動でした。
写真18.昼はねむそうなメンフクロウ (Barn Owl)
8月29日:会議が午前中に終わったので、3時の出発までスラバヤ工科大学のキャンパス(写真19)で鳥を探しました。リュウキュウツバメ (Pacific Swallow) はシンガポールで見たものと同じです。スズメは日本と同じ種類です。コサギと思われる鳥が遠くを飛んでいました。きれいな水色で腹と首が真っ白なカワセミの仲間ジャワショウビン (Collard Kingfisher) が木にとまったのは感動でした。ネムノキと思われる木があり、花が咲いていたので、何種類かの鳥が来ていました。コシジロヒヨドリ (Sooty-headed Bulbul)、フタスジハウチワドリ (Bar-winged Prinia)、キバラタイヨウチョウ (Olive-backed Sunbird) の♂と♀、コシグロキンパラ (Javan Munia)、オレンジハナドリ (Orange-bellied Flowerpecker) を見ることができました。クチバシガすっと長くて下に曲がったタイヨウチョウ (Sunbird) の仲間は日本にはいないですし雌雄がそろっていたので、見ごたえがありました。あと2種類ほどいたと思うのですが、識別できませんでした。
写真19.スラバヤ工科大学のキャンパス
今回は2度目ということもあって鳥見をする余裕がありました。もう少し写真があればよかったのですがカメラの充電器を忘れて途中で電池が切れてしまいました。