日本野鳥の会九州ブロック韓国探鳥会(2001.12.22〜24)

2001.12.22〜24の間、日本野鳥の会九州ブロック韓国探鳥会に行ってきました。
韓国の鳥類学者の第一人者の元(ウォン)先生が案内して下さり、3日間ともとてもいい天候に恵まれた探鳥会でした。

12月22日:
 インチョン到着後、オードゥサン統一展望台へ行き、周辺で探鳥しました。
ここは漢河とイムジン川が合流する地点で、北朝鮮を展望する場所です。


(合流点の写真:対岸は北朝鮮。中洲にはヒシクイの群れ。)


(漢河側、ソウル方面:この岸辺に多数のヒシクイとマガンの群れが休んでいた。)

 展望台から河を眺めていると水面すれすれにヒシクイが数十羽ずつきれいなV字編隊を作って飛んでいました。
川面にはカワアイサが浮いており、中洲には多数のヒシクイやカモ類(主としてマガモ)が休んでいました。
韓国はとにかくカササギだらけという感じで、目につく木にはほとんどカササギの巣があり、もう営巣を始めているのもいました。


(カササギのペア?)

 ここからソウルへ向かう途中、カササギが群れになってねぐらへ向かったり、サカツラガンの群れがずっとバスと並んで飛行してくれたり、楽しませてくれました。
道路の漢河側には延々と鉄条網が設けられ、武装した軍隊があちこちで見張っています。この鉄条網と河の間に耕作地があり、そこにはヒシクイとマガンが数千羽は休んでいました。軍の目につかない場所でバスを停めてヒシクイとマガンを観察していたところ、マガンの群れの中に1羽のハクガンを見つけました。真っ白な羽の尾の部分に畳まれた黒い先端が尾の部分に少し見えて、なんとも綺麗でした。
[鳥合わせ結果]:カワウ、マガン、ヒシクイ、ハクガン、サカツラガン、マガモ、カルガモ、カワアイサ、キジバト、タヒバリ、ヒヨドリ、カササギ、ミヤマガラス、ハシボソガラス

12月23日:
 ソウル北東部の鉄原へ行きました。ここは休戦ライン付近で非武装中立地帯(DMZ)とシビリアンコントロール地帯(CCZ)でツル類が越冬したり渡りの中継に使う場所です。
ウォン先生のおかげで特別の許可が得られてCCZに入りました。
武装兵があちこちで監視しており、先導車なしには通行できません。写真撮影も禁止とのことでしたが、軍の設備以外ならいいとういうお目こぼしをしてもらいました。
DMZの境界に展望台が設けられており、そこまで停車してはいけないとのことでしたが、途中で何箇所か監視所から見えないところで停車してもらって探鳥することができました。


(DMZとの境界線にある展望台は分断された鉄道の最後の駅のところにあり、この写真はその駅です。この反対側は撮影禁止です。)

 CCZはところどころに地雷原が設けてある以外は広々とした耕作地です。


(タンチョウの群れが遠くで採餌しています。)

 1〜数家族単位のタンチョウとマナヅルの群れがあちこちで見られました。ツル類用の給餌をしている方々にもお会いしました。


(タンチョウとマナヅルの家族が少し離れて採餌していました。)

 頭上では大きなクロハゲワシが何羽も舞っています。まさに空飛ぶ絨毯という感じの大きさです。1羽、少し茶色っぽくて反転したときに上部の肩の部分が白いとても綺麗なカタシロワシもいました。少し小さくて褐色のソウゲンワシも1羽おり、日本でも話題のケアシノスリも1羽見られ、猛禽類の天国でもあるようです。


(ケアシノスリは若鳥でした。クロハゲワシは写せなかったので、24日に光陵で保護されているのを写しておきました。巨大さを見てください。)

 マガンとヒシクイの大きな群れもあちこちで見られました。
バスで走行中にオオカラモズが2羽出現し、クラクションを鳴らしても先導車が止まってくれず残念でした。

 CCZを出た後で白馬高地戦跡に立ち寄りました。このあたりも上部では撮影禁止とのことで軍隊が見張っていました。頂上付近から見渡すと、タンチョウ、マナヅル、ヒシクイ、マガンの群れが見られました。


(白馬高地戦跡。)

[鳥合わせ結果]:アオサギ、マガン、ヒシクイ、マガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ケアシノスリ、ノスリ、ソウゲンワシ、カタシロワシ、クロハゲワシ、チョウゲンボウ、コウライキジ、タンチョウ、マナヅル、セグロカモメ、キジバト、ハクセキレイ、ヒヨドリ、オオカラモズ、エナガ、ミヤマホオジロ、オオジュリン、スズメ、カササギ、ミヤマガラス、ハシボソガラス

12月23日:
 ソウル東北東部の光陵へ行きました。林業試験所の試験林で観察しました。


(次長さんから試験林の概要を説明していただきました。左端がウォン先生です。)

−4度ということで冷気が身にしみ、川もすっかり凍っています。


(小さな滝が凍っています。)

林に入るとシジュウカラ、ヤマガラ、コガラ、コジュウカラ、コゲラ等が迎えてくれました。
オオアカゲラが♂♀同時に出現してじっくり見せてくれましたがクマゲラには残念ながら気配とも出会えませんでした。
カケスは頭が茶色のミヤマカケスのような色で、ヤマゲラもおり、北海道のような感じですが、ゴジュウカラは横腹が茶色い本州以南のタイプでした。

 鳥の写真がほとんど無いので、ここで保護されている鳥の写真を示します。
 ワシミミズクは日本にはいません。映画JSAの最初に登場したのを覚えてますか。


(ワシミミズクです。)


(精悍なオオタカです。)

 光陵の近くにあるウォン先生の大学に立ち寄りました。


(キュン・ヒー大学大学院の校舎。)

 空港へ向かう途中でソウル市内の漢江の水面には多数のカワアイサが群れになって浮いていました。W杯サッカー場付近の無人島が鳥の天国になっているそうで、多数のカモ類が見られました。


(野鳥の楽園の漢河の無人島。)

[鳥合わせ結果]:オシドリ、マガモ、カルガモ、ヨシガモ、オナガガモ、ホシハジロ、カワアイサ、 ノスリ、クロハゲワシ、チュウヒ、コウライキジ、キジバト、ヤマゲラ、オオアカゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、 モズ、ミソサザイ、ハチジョウツグミ、ダルマエナガ、キクイタダキ、エナガ、ヤマガラ、シジュウカラ、 コガラ、ゴジュウカラ、ミヤマホオジロ、スズメ、カケス、カササギ、ハシボソガラス

元先生とは9年ぶりにお会いしましたが、ますますお元気で現役で活躍しておられるご様子でした。
来年は韓国南部で探鳥しようとの再会を約してお別れしました。

 3月に開港したインチョン国際空港は広大な干潟を埋め立てて作られたとのことです。以前はシギ・チドリの楽園だったでしょう。

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(広大なインチョン国際空港。)


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